株式会社NHホールディングス 薬局・介護・IT 広島県安芸郡

株式会社NHホールディングス

NHホールディングス様は、先代の事業を継がれた北村様が2020年に創業された薬局・介護×ITを推進する企業です。「今ここに無い価値を創造する」をコンセプトとして、過去のご経験や強みを生かして大規模企業~小規模事業所まで網羅的にサービス提供に取り組まれています。今回は、代表取締役の北村様と人事の密山様より、本質的な地域包括ケアを目指す背景にある業界・ヒトへの想いについてお聞きしました。

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「日本の医療・介護業界を持続性・将来性のあるものにするために」

事業について

栗田:
NHホールディングス様は、在宅医療やIT事業に強みを持ちながら4つの事業を展開されています。詳細を伺えますでしょうか?

北村様:
弊社は「今ここにない価値を創造する」という信念のもと事業を行っております。

理念には、将来が不安な現代において医療や介護で連携した地域包括ケアシステムを実現することで、年を取ることが楽しみになるようにという思いを込めています。その背景には、地域包括ケアという社会保障を地域で協力し一体的に支えていこうという国の方針があるものの、医療や介護の現場は非効率なものが多く、かつ協力しきれていないという現状があります。その現状を弊社の4つの事業を通じて変え、新しい価値を作っていきたいと考えています。

4つの事業とは、①調剤薬局運営・②介護施設運営・③システム開発事業・④ITソリューション事業です。薬局運営事業において在宅医療における強みをもっております。背景には1990年から行っている事業のためノウハウがあるということ、グループ内で開発しているITシステムを介護施設の経営者に提案・導入するというシナジー効果を活用できることによって、営業先の介護施設内に弊社の薬局を併設するということができています。薬局ごとに差があまりないからこそ、薬局だけを複数店舗広げるのではなく、ITシステム(※1)という私たちにしかできない価値を提供することで他社との差別化を図ることができています。

2024年4月1日からは、訪問介護事業所の定期巡回・随時対応型訪問介護看護という介護と看護の一体型のサービスを開始する予定です。以前は介護のみの組織でしたが、介護と看護を一体化させることで医療依存度の高い方でもなるべく病院に行かずに施設の中で医療措置を行えるようにするものです。

さきほどお伝えをしたITシステム(※1)について補足します。これはITソリューション事業から生まれた『かいごのコンパス』というもので、社内のDX化が行えるサービスです。介護施設責任者の経験者が当事者目線を生かし開発・営業を担当したため、運用時のサポートなども充実させています。これは、大規模企業に向けた介護導入支援サービスアプリで420個を利用することができます。さらに、小規模企業に向けて『かいごのコンパス』の低額サブスクリプションでのサービスを開始しました。

■『かいごのコンパス』サービスページ
https://kaigonocompass.jp/

栗田:
420個ですか!?それはすごいですね…なぜ小規模企業もターゲットに、定額サブスクリプションのサービスを展開されようと思ったのでしょうか?

北村様:
小規模企業向けのサービスは2023年10月から提供を開始したのですが、このサービス提供に至るのには業界の現状についての課題感が強くあることが背景にあります。訪問介護事業所においては働かれている方の平均年齢が63歳なので、それゆえアナログな部分も多く属人性が高いという特徴があります。小規模な事業所が多いのも業界の特徴で、70%が100人以下の会社で、そのうち35%が19人以下の会社なのでバックオフィス体制など投資すべき場所に投資が回せないという現状があります。

その中で、弊社が提供している現状のDX支援サービスは、費用面の問題もあるのか、介護業界の5%ほどしかないような年商10億円以上の会社などにしかご活用していただけません。しかし、それでは私たちが理念として掲げる地域包括ケアに対する貢献には至らないということで、小規模事業者に向けた低価格でもDXを実現できるようなサービスを始めることにしました。

ヒトに対する過去の失敗のご経験

栗田:
北村様が大切にされている人事の考え方を、お伺いしたいです。

北村様:
私の経営者としての能力のなさの一点に尽きるのですけれども、過去に「組織崩壊」が起こったことがあります。これは非常に大切な出来事でした。

組織崩壊はグループ内で介護施設と先代が設立した医薬品卸しの2か所で起こりました。具体的に、介護部門では2014年9月からスタートしたのですが1年間で8割の人が辞めました。医薬品卸し部門では2013年からの1年間で部門の従業員皆さんが辞めてしまいました。具体的な要因については2つあると振り返っています。

1つ目は、従業員の皆さんを「数の配置」としてしか捉えず、1人1人の人格や能力などを鑑みていなかったことです。このような考えの背景には、私の歩んできた薬局でのキャリアが制度ビジネスのキャリアだったことが反映されていると思っています。薬局では1日40人の利用患者さんに対して1人の薬剤師を置く必要がある、というような数当てで人員を配置することが常だったのをそのまま経営に反映させてしまったということです。

2つ目は、会社として組織化ができていなかったことです。情報管理やノウハウの共有などに対して全く投資がされておらず属人化されていたことも、多くの人が辞めていった要因の一つと考えられます。

社員が辞める際に告げてくれた最後の声が財産になっておりまして、情報管理の重要性からは今の事業を生むことにも繋がっています。また、人の能力をいかに活用するのかという点で採用や教育にも力を入れるようになりました。

採用活動で大切にされていること

栗田:
採用において大切にしていることを教えていただきたいです。

北村様:
弊社は、規模の拡大よりも「人の成長」を大切にしています。そのうえで掲げる人材像としては、まず、業界が好きでありながらもそのシステムや自身の働くキャリアへの課題感などについて変革をしたいなど強い想いを持っている人です。また、新しいものにチャレンジすることが好きという人が弊社で活躍をしています。インタビューに同席している密山さんは会社の事業拡大を実現させるための人材確保に課題を感じていたことから3年ほど前に手を挙げて人事に参画してくれました。

密山様:
選考時にはスキルよりも、その候補者さまが「素直な方・真面目な方」であることを、まず大切な軸として確認をしております。人の意見や評価を素直に受け入れられる人ではないと「成長」は難しいと考えているためです。採用後の教育も重視しており、新卒中途かかわらず4種類30時間の研修を実施しています。

北村様:
直近のご入社で一例をお伝えします。「IT×薬剤師」という職種において、3人の方とご縁がありました。その3人は薬剤師としての「ご自身のキャリアに対する強い課題感と業界の将来を変えなければいけない」ということに気づき、変えていくことに価値があると信じている点が共通しています。

栗田:
「キャリアに対する強い課題感と業界の将来」をもう少しだけ伺えますでしょうか?

北村様:
業界の方は特に感じていることかもしれませんが、病院やドラッグストアに併設する薬局の更なる成長があるのか?といったことは弊社でも考え続けています。今まで以上の価値を提供しないといけません。

また、ここ数年でChatGPTやamazonのIT薬局などの登場により薬剤師の意義を考え直す機会が増えていることを踏まえると、ITやコンサルティングなどの「薬剤師プラスの価値」を見出すことに対する潜在的なニーズはあると思っています。

栗田:
最後に、「人事」の観点で、会社として挑戦してみたいことはありますでしょうか。

密山様:
私は、定期的な人事異動を行いたいと考えています。それにより属人化を防いだり、若い方が会社全体を見て視野を広げたりし個人や会社の成長に繋げたいです。

北村様:
私は採用手段のノウハウを高めていきたいですね!すでに社会で活躍している皆さんは当然ですし、学生などにも発見していただき、認知度を高めていきたいと考えています。

注力されている募集ポジション

現在は、2024年4月1日から行う訪問介護事業所のサービスの実施に伴って、看護師の方を募集しております。またIT薬剤師の方も募集しております。

少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひ詳細ページを確認いただきまして、お問い合わせくださいませ。
https://www.nh-group.biz/saiyou/

アトモニメンバーからの一言

  • 栗田 康二のプロフィール画像

    栗田 康二

    株式会社アトモニ|代表取締役

    原体験から業界の課題解決への強い意思を持つ風土

    過去の組織崩壊から、採用活動や育成に多くの時間を使っていることが印象的でした。北村社長、そして人事の密山様のやり取りはオープンなコミュニケーションで、組織の風土を象徴されていると感じました。この1年だけではなく、未来を見据えて、また業界の課題を解決するために自社サービス「かいごのコンパス」を、利用される皆様側に立って開発されたお話は、北村社長はじめ皆さんの原体験から来ています。更に加速する少子高齢化時代において、介護事業所様の生産性向上は必然であり、その点に大きく貢献されようとされていますので、医療・介護業界への興味がある方はぜひお話を聞きに行かれてみてください!

  • 北尾 美凪のプロフィール画像

    北尾 美凪

    株式会社アトモニ|インターン

    当たり前の現状から挑戦すること

    北村様の人事での失敗があった中で、ご自身の考え方や行動を変化させて「人を大切にする会社」へと変革されたことは、環境を大きく変えることができると分かりとても印象的でした。
    介護や薬局の運営は、私たちの生活の中の当たり前になくてはならない存在のため、現状でも一定の売上が確保できます。しかし、その中でもIT技術を使ったサービスの開発・提供が行われているのには、持続的にケアを利用できるような社会を実現させるために、業界の将来を真剣に考えていらっしゃるからこそできることだと思います。超高齢化の影響を直接的に受ける環境にある中で挑戦し続けていらっしゃるお二方を知り、私自身の社会課題に対する問題意識と行動の重要性がとても高まりました!